国民年金の保険料について

国民年金の保険料についての解説

国民年金(第1号被保険者・任意加入)の標準保険料は月額17,510円(2025年度)です。 納め方を工夫すると、前納割引や口座振替の早割を使うことができ、将来の年金額を増やす付加年金(月400円)を上乗せする選択肢もあります。 ここでは、最新の保険料の目安や前納・割引、免除や猶予、学生納付特例、追納の考え方まで、全体像を整理していきます。

1. いくら払う? — 基本の保険料と締切

項目内容(令和7年度)
月額保険料17,510円
納付期限納付対象月の翌月末日(末日が土日祝・年末年始の場合は翌営業日)
付加保険料 任意で+400円/月を上乗せ可能(第1号・任意加入のみ。国民年金基金との併用は不可)

保険料や付加保険料の金額は、日本年金機構など公的な公表資料に基づいています。

2. 前納と口座振替の割引 — 「まとめ払い」でおトクに

国民年金は、毎月払いのほかに「6か月・1年・2年分をまとめて払う前納制度」があります。 前納を利用すると、同じ期間を毎月で支払う場合と比べて保険料が割り引かれます。

2年前納の代表的な目安は次のとおりです(令和7年度)。

前納方法対象期間前納額(合計)割引額(毎月払いと比較)
口座振替 2年前納 令和7年4月~令和9年3月 408,150円 約17,010円おトク
現金・クレジット 2年前納 同上 409,490円 約15,670円おトク
口座振替の「早割」
口座振替を「当月末振替」にすると、各月の保険料が60円割引されます(通常の翌月末振替との比較)。 申込後の最初の振替だけは「前月分(割引なし)+当月分(60円引き)」の2か月分がまとめて引き落とされる点に注意が必要です。

3. 半年・1年前納のイメージ(口座振替)

口座振替で6か月・1年前納を利用した場合の金額イメージは次のとおりです。

区分前納額割引額(毎月払いと比較)
6か月前納103,870円約1,190円
1年前納205,720円約4,400円

現金・クレジットカードでの前納は、口座振替よりもやや割引額が小さくなります(例:6か月 104,210円、1年 206,390円など)。

4. 付加年金(月+400円)のしくみ

第1号被保険者・任意加入の方は、月+400円の「付加保険料」を上乗せして支払うことができます。 将来の年金額は、200円 × 付加保険料を納めた月数(年額)の分だけ老齢基礎年金に上乗せされます。

たとえば60か月(5年)付加保険料を納めた場合、老齢基礎年金に年12,000円が一生涯上乗せされるイメージです。 物価スライドの対象ではない固定額の上乗せで、国民年金基金との同時加入はできません。

5. 免除・納付猶予 — 厳しいときのセーフティネット

所得が少ないときや失業などの事情があるときは、「全額免除・一部免除(4分の3・半額・4分の1)・納付猶予」を申請できます。 免除が承認された期間は、将来の受給資格期間としてカウントされ、老齢基礎年金の金額には一定割合で反映されます(納付猶予期間は金額には反映されません)。

区分本人が納める月額(令和7年度)将来の年金額への反映
全額免除0円全額納付の1/2
4分の3免除4,380円全額納付の5/8
半額免除8,760円全額納付の6/8
4分の1免除13,130円全額納付の7/8
納付猶予0円受給資格期間に算入(年金額には反映なし)

6. 学生納付特例 — 学生のときは「猶予」で資格を守る

学生の方は、「学生納付特例制度」により在学中の保険料を猶予することができます。 保険料は将来に回しますが、その間も障害年金や遺族年金の保障は続く仕組みです。

所得の目安は、128万円+(扶養親族の人数×38万円)以下が一つの基準とされています。 申請は市区町村の窓口や年金事務所、郵送などで行い、ねんきんネットの作成支援ツールを活用することもできます。

7. 追納制度 — 後から納めて年金額を回復

免除や納付猶予を受けた期間の保険料は、原則として10年以内であれば後から納め直す(追納する)ことができます。 追納した期間は「全額納付」扱いとなるため、将来の老齢基礎年金の金額を増やすことができます。

追納する順番や時期によっては、過去分に加算金が付くこともあります。どの期間から追納するか、一度整理してみると安心です。

8. 支払い方法と手続きの実務

方法ポイント
口座振替 毎月払い・早割(当月末振替)・6か月前納・1年前納・2年前納などから選べます。 2年前納(4月開始)を希望する場合は、通常2月末頃までに申込書の提出が必要とされます。
納付書(現金) 金融機関やコンビニで支払い可能です。6か月・1年前納の割引も用意されています。
クレジットカード クレジットカード払いでも前納が可能です。割引額は口座振替よりやや小さめですが、ポイント還元等と合わせて検討する方もいます。

9. 代表的なパターン別の考え方

タイプ考え方の例理由・効果
フリーランス(安定収入) 口座振替2年前納+付加年金を検討 割引を最大限に活かしつつ、付加年金で年200円×月数の上乗せを狙う方法です。
収入の波が大きい 口座振替の早割+6か月前納など、無理のない範囲で前納 毎月の手間を減らしつつ、資金繰りと割引のバランスを取るイメージです。
低所得・失業中 免除・納付猶予を申請し、余裕が出たら追納を検討 いまの生活を優先しながら、受給資格を守り、将来の回復の余地も残す方法です。
大学生 学生納付特例を利用 在学中の負担を軽くしつつ、万が一のときの公的保障を確保できます。

10. よくある質問(Q&A)

  • Q. 付加年金はいつから増える?
    A. 老齢基礎年金の受給開始から増えます。増額分は 200円×付加保険料の納付月数(年額) が一生涯上乗せされます。
  • Q. 免除を受けると将来の年金はどのくらい減る?
    A. 免除の種類ごとの反映割合(1/2、5/8、6/8、7/8)に応じて減少します。余裕ができたときに追納することで、ある程度取り戻すこともできます。
  • Q. 2年前納はいつまでに手続きが必要?
    A. 4月分からの2年前納を利用したい場合は、通常2月末頃までに申込手続きを行う必要があります。詳細は最新の案内で確認してください。
  • Q. 早割はだれでも使える?
    A. 口座振替を利用し、「当月末振替」を選択すると利用できます。各月60円の割引です。

まとめ

2025年度の国民年金保険料は月17,510円です。 前納や早割、付加年金の活用で「少しおトクに・少し安心に」備えることができ、 免除・納付猶予と追納を上手に組み合わせれば、「無理なく続ける」ことも可能です。 一度、自分や家族の収入状況・貯蓄・将来のプランを眺めながら、どの納め方が合っているか考えてみるとよいと思います。

※本記事の内容は令和7年度時点の公表情報をもとにしています。 制度や金額は今後変わる可能性があるため、最新の情報は日本年金機構などの公式資料で必ずご確認ください。

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