在職老齢年金について
在職老齢年金とは?
在職老齢年金は、働きながら老齢厚生年金を受け取る場合に適用される仕組みです。 給与と年金の合計額が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されます。 ただし、よく誤解されがちな部分として、 「老齢基礎年金は一切停止されない」 「給与以外の収入は対象外」 という点が非常に重要です。
停止対象はどこ? ― 老齢基礎年金は“ノータッチ”
在職老齢年金の支給停止対象になるのは
老齢厚生年金(報酬比例部分)だけです。
老齢厚生年金(報酬比例部分)だけです。
つまり、国民年金部分である老齢基礎年金は満額支給され続けます。 働きながらでも停止されることはありません。
老齢基礎年金 … 影響なし(満額支給)
老齢厚生年金 … 条件により一部~全額停止の可能性
対象となる“収入”の範囲
在職老齢年金の計算に含まれる「収入」は限定されています。
● 調整の対象になる収入
- 厚生年金に加入して得る給与
- 厚生年金に加入して得る賞与(標準賞与)
● 対象外(調整に含めない収入)
- 厚生年金に加入しないパート収入(※週20時間未満等)
- 自営業・フリーランスとしての事業所得
- 不動産収入
- 投資収入(株式配当・売却益など)
- 年金以外の雑所得
つまり、働き方や雇用形態の工夫で、 「給与は抑えつつ、他の所得で生活する」 という設計をすれば、在職老齢年金が停止されないケースも多くあります。
2025年度の支給停止調整額(基準額)
2025年度の支給停止調整額は 51万円です。 (給与+賞与の月換算額+老齢厚生年金の「月額」)が51万円を超えるかどうかで判定されます。
支給停止の計算方法
(給与+賞与月換算)+老齢厚生年金の月額 が 51万円を超える →
超えた分の1/2が停止
※老齢基礎年金は計算に入れません(停止なし)。 ※給与・賞与は厚生年金加入時の報酬のみ対象。
シミュレーション(基礎年金は満額支給のまま)
| 例 | 給与+賞与月換算 | 老齢厚生年金(月額) | 合計 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| Aさん | 25万円 | 10万円 | 35万円 | 停止なし(基礎も厚生も全額) |
| Bさん | 40万円 | 12万円 | 52万円 | (52−51)×1/2=5,000円停止 |
| Cさん | 50万円 | 20万円 | 70万円 | (70−51)×1/2=95,000円停止 |
※老齢基礎年金(約6.9万円/月)は停止なしで満額支給されます。
対象外収入がある人の例(よくある質問)
Q. 厚生年金に加入しないパートを週10時間で続けています。
収入が月8万円ですが、在職老齢年金は停止されますか?
→ A. 停止されません(対象外収入)。
給与としてカウントするのは「厚生年金に加入した場合だけ」です。
Q. 不動産賃貸収入が月20万円ありますが?
→ A. 停止対象外です。
事業所得・不動産所得・投資所得は制度上全て対象外です。
まとめ
2025年度の在職老齢年金は、給与+老齢厚生年金の合計が51万円を超えなければ支給停止はありません。 さらに次の2点が非常に重要です。
- 老齢基礎年金は完全に停止対象外(満額支給)
- 厚生年金に加入して得る給与と賞与以外は、そもそも停止の対象収入にならない
つまり「働いたら損」ではなく、 働き方によっては「給与+年金を両方もらえる」ケースも非常に多い制度です。 まずは、自分の給与と老齢厚生年金の月額を確認し、 停止される可能性があるかどうかをざっくり計算してみると安心です。
※制度内容は2025年時点の公表情報に基づいています。毎年の基準額の更新や法改正にご注意ください。
