障害基礎年金と障害厚生年金とは

障害基礎年金・障害厚生年金について

障害年金は、病気やけがで日常生活や仕事がむずかしくなったときに生活を支える制度です。 全国民が対象となる障害基礎年金と、会社員・公務員などが加入する障害厚生年金の二つで成り立っています。 どちらに該当するかは「初診日の加入制度」と「障害の程度」で判断されます。

まずおさえておきたいポイント

対象初診日に加入していた年金制度(国民年金/厚生年金)と、障害等級(1〜3級・障害手当金)で決まります。
等級の考え方日常生活や労働の制限がどの程度あるかを基準に認定されます。
(例:1級=常に介助を要する、2級=日常生活が著しく制限される等)
支給開始原則として「障害認定日」または「事後重症請求」の請求月の翌月から。
納付要件初診日の前日において直近1年の未納がない、または20歳以降の加入期間のうち3分の2以上が納付・免除等で充足している必要があります。

障害基礎年金(令和7年度)全国民共通

障害基礎年金は、自営業・学生・専業主婦(夫)などを含むすべての人が対象です。 障害の程度に応じて1級または2級が認定され、子どもがいる場合には「子の加算」がつきます。

等級年額月額の目安補足
1級 1,039,625円 約86,635円 2級の1.25倍。
(昭和31年4月1日以前生まれは 1,036,625円)
2級 831,700円 約69,308円 (昭和31年4月1日以前生まれは 829,300円)
子の加算 第1子・第2子:各239,300円(約19,941円/月)
第3子以降:各79,800円(約6,650円/月)
※18歳到達年度末まで、または20歳未満で1・2級障害の子が対象

2025年度は全体で1.9%の引上げが行われました。

障害厚生年金(令和7年度)会社員・公務員

障害厚生年金は、厚生年金加入中の病気やけがによる障害が対象です。 受給額は「報酬比例」で決まるため、働き方や収入によって将来の金額が変わります。 1・2級の場合は、一定条件で「配偶者加給年金額」が上乗せされます。

等級年金額の考え方補足
1級 報酬比例の年金額 ×1.25 + 配偶者加給 配偶者加給:239,300円
2級 報酬比例の年金額 + 配偶者加給 同上:239,300円
3級 報酬比例の年金額 最低保障額:623,800円
障害手当金 報酬比例の年金額 ×2(下限:1,247,600円) 一時金として支給

報酬比例部分は「平均標準報酬額 × 乗率 × 加入月数」で計算されます。 加入期間が300月未満の場合は「300月」とみなされ、短期間の加入でも極端に不利にならないよう配慮されています。

年金生活者支援給付金(令和7年度)

収入が一定基準以下の障害年金受給者には、生活を補うための給付金が支給されます。

種別月額対象の例
障害基礎年金 1級6,813円所得要件を満たす場合
障害基礎年金 2級5,450円同上

手続きのポイント(つまずきやすい部分)

  • 初診日の証明はもっとも重要。診療録の保存期限切れに備え、受診状況等証明書や第三者申立書で補強します。
  • 請求時期(障害認定日請求/事後重症請求)によって受給開始が変わります。
  • 更新では障害状態確認届の内容により、継続・等級変更・支給停止となることがあります。
  • 加算の届出(子の加算・配偶者加給)は、要件を満たした翌月から支給。出生・結婚・離婚・18歳到達などの変更は必ず届け出ます。

まとめ

障害年金は、障害の程度や初診日、加入していた制度によって受給内容が大きく変わります。 2025年度は全体で1.9%の増額があり、生活の基盤を支える役割がより強まりました。 請求にあたっては書類の整備やタイミングが重要になりますが、制度を正しく理解しておくことで、 必要な支援を受け取りやすくなります。

※本稿の金額は令和7年4月分からの年額です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です